DIWのカスタムROLEXからベゼルにサファイアを使用した「Rainbow Collection」が発売。
「気になるアイテム、「デイトナ レインボー」と「タンブール クロノグラフ」」 :: リサイクル通信
ブランド市場バイヤーに学べ65
~相場編~
皆さん、新年あけましておめでとうございます。前回のコラムでお話しましたように、今回からはブランド古物の「相場」にフォーカスしながらトレンドをお伝えしていきます。私どもが主催するブランド古物市場「RKグローバルオークション」の直近の落札事例から、気になるアイテムを紹介していきます。
【落札事例】ロレックス デイトナ レインボー Ref.116595RBOW
未使用品 付属品/保証書 箱 余りゴマ
2019年12月
RKグローバルオークション落札結果 ¥25,000,000-
初っ端から、大物の紹介です。2018年に登場した金無垢デイトナで、K18エバーローズゴールドのケースに、名前のとおり鮮やかな虹色を思わせるカラー・サファイヤベゼル。インデックスにまで同型色のバケットサファイヤをセットした、大変に豪奢なモデルです。
発表当初のメーカー定価は11,394,000円(税込)と桁違いですが、中古市場相場はなんとその2倍以上という驚きの価格(!)。圧倒的に流通量が少なく、希少価値の高さからプレミア化しています。
ただし、この落札結果は大手の小売業者さんが競り合った影響による、若干の上振れもあります。というのも、昨年夏頃にロレックス相場全般が下落してから、一時ほどの勢いは欠く印象だからです。ここ最近の仲値としては、2,000万円代前半くらいが適当でしょうか。このモデルは特に香港や北米、ヨーロッパ市場への卸売り商材として人気が高いようです。
【落札事例】ルイヴィトン タンブール クロノグラフ LV277 Ref.Q1E90
中古Aランク 付属品/保証書 箱
2019年11月
RKグローバルオークション落札結果 ¥2,000,000-
ルイヴィトンの定番コレクション「タンブール」から紹介。タンブールと聞くと、ルイヴィトンのブランドカラーともいえる"ブラウン"が真っ先に思い浮かびますが、こちらは鮮やかな"グリーン"を基調としたモデル。K18ホワイトゴールドケース全面にあしらったダイヤモンドと相まって、非常に華やかなルックス。市場の流通量も多くなく、私自身見たことがあるのは数えるほどです。
前述のデイトナレインボーと異なり、こちらは国内の小売り市場で人気が見込めるモデル。知名度の高い定番コレクションながら、ユニークなパヴェダイヤと遊び心のあるグリーンの組み合わせが人気のポイント。保証書や箱を完備していることも小売り市場で優遇されます。
落札価格は200万円とタンブールの中では高額ですが、見た目はそれ以上に見えなくもない点も高値を付けた一因でしょうか。主観的な面もあり難しいのですが、“見た目以上の高級感"が、高値につながることはままあります。
齋藤 清(さいとう きよし)
株式会社アールケイエンタープライズ・執行役員 兼 オークション事業本部 本部長 グローバルトレードと共催する「RKグローバルオークション」のオークショニアを務めるとともに、日本国内はもとより海外でも買い付けを行う敏腕バイヤー。ブランド品リユース業界歴は20年余り。ゴルフとお酒を愛する憎めない人柄で、業界関係者との人脈も深い。 齋藤 清(さいとう きよし)株式会社アールケイエンタープライズ・執行役員 兼 オークション事業本部 本部長 グローバルトレードと共催する「RKグローバルオークション」のオークショニアを務めるとともに、日本国内はもとより海外でも買い付けを行う敏腕バイヤー。ブランド品リユース業界歴は20年余り。ゴルフとお酒を愛する憎めない人柄で、業界関係者との人脈も深い。
第480号(2020/1/25発行)15面
かつて人気を博した90年代の時計たち! 【第4回|ゼニス レインボー フライバック】
ゼニスは、高級路線に舵を切った2003年以降から100万円前後のモデルを主軸としたラインナップとなってしまったが、それ以前は、クロノグラフといえば必ず人気の上位に顔を出すほど、時計好きの間でも高い人気を誇ったブランドで、価格面でも頑張れば比較的に手の届く存在であった。そして、その代表的モデルとして挙げられたのがこのレインボー フライバックである。
レインボーコレクションの派生機として1997年に登場したレインボー フライバック。フランス空軍の協力で開発されたといわれる
最高峰の傑作クロノグラフムーヴメントとして知られ、かつてロレックスのデイトナにも採用されたあのエル・プリメロにフライバック機構をプラスしたCal.405を搭載。1997年にフランス空軍の協力により開発された。
フライバック機構とは、クロノグラフ針が作動中、ストップボタンを押さずダイレクトに4時位置のリセットボタンを押すことで瞬時にすべての計測針をゼロリセットさせることができ、その後に再度スタートボタンを押さずとも自動的に再計測が始まるというもの。つまり、着陸待ちで旋回しているパイロットが経過時間を計り直すときなどに役立つ機構だったようだ。
経過時間が視覚的にも瞬時に把握できるようにと5分ごとに色分けされている。これがデザイン的にも個性的かつレーシーな雰囲気を強めていることもあって、後に黒一色の文字盤タイプが発売されたものの、人気は圧倒的にこのタイプだった
3時位置にある30分積算計の多色使いやベゼルの目盛り、そして計測針に赤が使われるなどカラフルな印象から“レインボー”という名前がついたと勘違いされることも稀にあるが、実際には1934年のアメリカズ・カップで優勝した“レインボー号”にちなんだもので、エル・プリメロ復活の象徴として92年に投入されたクロノグラフのコレクション名に採用されたものだった。
つまり言うなればレインボーコレクションに属するフライバックモデルという意味なのである。そして99年にはカラフルなモデルのほかに黒一色のバリエーションも登場している。
当時の並行市場での新品実勢価格は40万円前後。エル・プリメロにフライバック機構搭載でこの価格は、いまから思えばビックリするほど魅力的な価格だ。それに対して現在のユーズド価格も40万円前後といった感じだ。特にカラフルなタイプは流通量がそれほど多くないため、コンディションも含めて納得のできる個体と出合えるかがポイントとなるだろう。
レインボー フライバック
■商品データ
生産期間:1997〜2003年
素材:ステンレススチール
ケース径:40mm、ケース厚:12.5mm
新品時の防水性:100m防水
駆動方式:自動巻き(Cal.405/エル・プリメロ)
その他:フライバッククロノグラフ(30分積算計、12時間積算計)、スモールセコンド、双方向回転ベゼル、テレメーター
当時の国内参考定価:58万円